夜中の「足がつる」こむら返り
原因・すぐできる対処・くり返さないための予防
夜中に突然ふくらはぎが「ピキーン!」とつって、激しい痛みで飛び起きた——そんな経験はありませんか。こむら返り(筋けいれん)は、自分の意思とは関係なく筋肉が強く縮んでしまう、痛みを伴う数秒〜数分のけいれんです。ふくらはぎに最も多く起こりますが、足の裏や太もも、まれに手や腹部の筋肉に起こることもあります。
ありふれた症状で多くは心配のいらないものですが、くり返す場合や、背景に別の病気が隠れていることもあります。この記事では、起こるしくみから、その場でできる対処、漢方(芍薬甘草湯)の使い方と注意点、再発を防ぐ生活の工夫まで、わかりやすく整理しました。
なぜ足がつるの?
筋肉には、伸び縮みを感知する「センサー」が備わっています。筋肉の長さを感じる筋紡錘(きんぼうすい)と、腱の張りを感じるゴルジ腱器官です。ふだんは両者がバランスを取っていますが、このバランスが乱れて「縮めよ」という信号が過剰に出ると、筋肉が勝手に強く縮み続けてしまいます。これがこむら返りの正体と考えられています。
あとで述べる「つった時のストレッチ」が効くのは、筋肉を伸ばすことでゴルジ腱器官が刺激され、「縮めよ」の信号にブレーキ(抑制)をかけ直せるからです。
夜中・就寝中に多いのはなぜ?
どんな人・どんな時に起こりやすい?
はっきりした病気がなくても起こります(特発性)。次のような状況で起こりやすくなります。
背景に病気が隠れていることも
くり返す・だんだんひどくなる場合は、次のような病気や薬が関係していることがあります。
つってしまった時の対処法
最も効果的なのは「ストレッチ(筋肉を伸ばす)」です。あわてず、次の順番で。
受け身で伸ばすだけでも、多くは数秒〜数十秒で痛みが引いていきます。無理に逆方向へ力を入れないことがポイントです。
漢方「芍薬甘草湯」について
日本でこむら返りに最もよく使われるお薬が、漢方の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。芍薬と甘草の2種類の生薬からなり、つった時に頓服で使うと、およそ5〜数分という速さで効くのが特徴です。漢方というと「ゆっくり効く」イメージですが、これは急なけいれんと痛みをすばやくしずめる“即効型”。骨格筋だけでなく、胃腸などの平滑筋のけいれんにもはたらきます。
使い方の目安
甘草を比較的多く含むため、長く・たくさん使うと「偽(ぎ)アルドステロン症」が起こることがあります。主な症状は、手足や顔のむくみ、体重増加、血圧の上昇、だるさ・力が入りにくい、など(血液中のカリウム低下も)。
とくに利尿薬を使っている方・複数の漢方を併用している方・高齢の方は注意が必要です。続けて使う場合は定期的な血液検査が望ましく、症状が出たら中止してご相談ください。「漢方だから副作用がない」わけではありません。
効かない・くり返す時は
有効性は高い薬ですが、すべての方・すべてのつりに効くわけではありません。効きが悪い・頻繁にくり返す場合は、別の漢方が合うこともあり、背景のミネラル異常や他の病気がないかを調べることが大切です。自己判断で量を増やさず、一度ご相談ください。
くり返さないための予防
薬に頼りきりにせず、毎日の工夫で「つりにくい体」をつくることが、いちばんの近道です。
こんな時は受診を
ただのつり、と思っていても、次のような場合は一度受診してください。
必要に応じて腎機能・肝機能・甲状腺・血中ミネラルなどを調べ、神経の病気が疑われればさらに検査を検討します。原因に応じた対応で、つりにくくしていけます。
まとめ
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。お薬の使用や症状については、自己判断せず医師・薬剤師にご相談ください。
