「平均寿命」と「健康寿命」
―― あなたの“元気な時間”を延ばすために
藤井内科医院
「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりました。たしかに日本人の寿命は世界トップクラスです。でも、ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。それは、「長く生きること」と「元気に生きること」は、同じではないということです。
今回は、健診や外来でもよく話題になる「平均寿命」と「健康寿命」の違い、そしてその差を縮めるために今日からできることを、できるだけわかりやすお話しします。
「寿命」には2つあります
「平均寿命」は、生まれた人が平均して何歳まで生きられるか、を表す数字です。一方、「健康寿命」は、介護を必要とせず、自分のことは自分でできる「元気な状態」で過ごせる期間のことを言います。
つまり、平均寿命から健康寿命を引いた年数が、「誰かの手助けや治療を必要としながら過ごす期間」のおおよその目安になります。
日本人の「不健康な約10年」
国際的な研究によると、日本ではこの2つの寿命の差が、男性で約9年、女性で約10〜12年あるとされています。これは世界的に見ても大きな差ではなく、むしろ日本は健康寿命が世界トップレベルの国の一つです。それでも、人生の終盤におよそ10年間、何らかの不調を抱えて過ごす計算になります。
そして、もう一つ気になる傾向があります。最近の日本では、寿命そのものは延び続けているのに、健康改善のペースはゆるやかになり、糖尿病や認知症の負担はむしろ増えつつある、という指摘もあるのです。
だからこそお伝えしたいのは――この「約10年」は、決して縮められないものではない、ということです。
カギは「6つの生活習慣」
日本人を長期間追跡した研究では、次の6つの健康的な習慣を多く実践している人ほど、寿命が長いことがわかっています。40歳の時点で6つすべてを保っていた人は、0〜2つしか保っていなかった人に比べて、男性で約10年、女性で約8年も長生きしていました。
先ほどの「約10年の差」と、ほぼ同じ大きさ。生活習慣の積み重ねには、それほどの力があるのです。
どれも特別なことではありません。すでにいくつか実践している方も多いはずです。大切なのは、「全部を完璧に」ではなく、「できるものを一つずつ増やしていく」こと。今日より一つでも多く当てはめられれば、それが未来の元気につながります。
認知症も、約4割は予防できる可能性
健康寿命を考えるうえで、認知症は避けて通れないテーマです。日本のデータでは、生活の中で改善できる要因に対策をすれば、認知症のおよそ4割は予防できる可能性があると試算されています。特に影響が大きいとされるのが、次の3つです。
いずれも、先ほどの6つの習慣や、ふだんの健診・外来でのケアと深くつながっています。
当院でできること
「元気な時間」を延ばすうえで、土台になるのが血圧・血糖・睡眠の管理です。当院では、次のようなお手伝いをしています。
「年だから仕方ない」とあきらめてしまう前に、ぜひ一度ご相談ください。少しの工夫の積み重ねが、これから先の“元気に過ごせる時間”を確実に延ばしていきます。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。体調やお薬について気になる点は、診察の際にお気軽にお尋ねください。
