帯状疱疹(たいじょうほうしん)とワクチン
「体の片側がピリピリ痛む」「そのうち赤いブツブツと水ぶくれが出てきた」——それは帯状疱疹かもしれません。子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが、何十年もたってから再び目を覚まして起こる病気です。
けっして珍しい病気ではありません。日本では80歳までに約3人に1人がかかるといわれています。そして2025年(令和7年)4月からは、予防のためのワクチンが定期接種の仲間入りをしました。今回は、この身近な病気とその備えについて、やさしくご説明します。
そもそも、帯状疱疹ってどんな病気?
水ぼうそうが治ったあとも、原因となるウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)は消えてなくなるわけではありません。背骨の近くにある神経のなかにひっそりと潜んで、静かに眠り続けています。
ところが、加齢や疲れ、ストレス、病気などで免疫(体の防御力)が下がると、眠っていたウイルスが再び暴れ出します。ウイルスは神経を伝って皮膚に出てくるため、神経の走行にそって、体の片側に帯(おび)のように症状が出るのが特徴です。これが「帯状疱疹」という名前の由来です。
日本ではどれくらい多いの?
宮崎県で20年以上にわたって行われた大規模な調査(宮崎スタディ)から、日本人の帯状疱疹について次のようなことがわかっています。
どんな症状が出るの?
■ ① まず「痛み」から始まることが多い
発疹が出る1〜5日ほど前から、ピリピリ・チクチクする痛みやかゆみ、違和感が先に出ることがよくあります。この段階では発疹がないため、肩こりや筋肉痛、内臓の病気とまちがえられることもあります。
■ ② 赤い発疹と水ぶくれが「片側」に帯状に
続いて、体の左右どちらか一方に赤い発疹が帯のように並んで出てきます。やがて水ぶくれになり、かさぶたになって、通常は3〜4週間ほどで治ります。胸やおなか、顔などに出やすいのが特徴です。
いちばん気をつけたいのは「あとに残る痛み」
帯状疱疹でもっとも多く、そしてつらい後遺症が、帯状疱疹後神経痛(PHN)です。皮膚がきれいに治ったあとも、焼けるような・締めつけられるような痛みが数か月〜数年続くことがあります。
治療 ―「早めのスタート」がカギ
帯状疱疹とわかったら、ウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬を飲みます。ポイントは、発疹が出てから72時間(3日)以内に治療を始めること。早く始めるほど、症状が軽くすみ、後神経痛(PHN)を残しにくくなります。
近年は日本でも、1日1回の内服ですむ新しいお薬など、選択肢が増えています。痛みが強いときは痛み止めも併用します。「たかが皮膚の病気」と我慢せず、早めに受診してください。
予防できます ― 帯状疱疹ワクチンのはなし
帯状疱疹は、ワクチンで予防できる病気です。発症そのものを減らすだけでなく、つらい後神経痛(PHN)の予防にも効果があります。
■ ワクチンは2種類。選べます
日本では、次の2つのワクチンから選べます。それぞれに特徴があります。
| 生ワクチン | 組換えワクチン | |
|---|---|---|
| おもな商品名 | ビケン | シングリックス |
| 種類 | 弱毒生ワクチン | 組換え(不活化)ワクチン |
| 接種回数・方法 |
1回 (皮下注射) |
2回 (2か月あけて筋肉注射) |
| 予防効果 |
約5〜6割 (年数とともに低下) |
9割以上 (10年後も約7割) |
| 接種後の反応 | 比較的軽い |
痛み・だるさ などがやや強め |
| 免疫が下がっている方 | 接種できません | 接種できます |
| 費用の目安 | 安い |
やや高い (2回で計約4万円※) |
※費用は医療機関や助成の有無で変わります。組換えワクチン(シングリックス)は効果が高く長もちしますが、その分やや高価です。どちらが向いているかは、年齢や持病、免疫の状態によって変わりますので、お気軽にご相談ください。
※2種類を混ぜて接種すること(交互接種)はできません。組換えワクチンは必ず2回とも接種しましょう。
だれが定期接種の対象?(浜松市の場合)
2025年度の定期接種の対象になるのは、おもに次の方です。
対象や自己負担額は年度によって変わることがあります。最新の金額・対象・手続きは、浜松市のホームページ、または当院でご確認ください。
こんな方は、特に予防をおすすめします
次のような方は帯状疱疹にかかりやすく、重くなりやすいことがわかっています。
免疫をおさえる治療を予定している方は、できれば治療を始める前に接種を。この場合は組換えワクチン(シングリックス)が適しています。タイミングについては主治医とご相談ください。
さいごに ― 当院より
帯状疱疹は、年齢を重ねればだれにでも起こりうる、とても身近な病気です。しかし、早めの治療でつらい後遺症を減らすことができ、ワクチンで予防することもできる病気でもあります。
「これって帯状疱疹かな?」と思ったら、我慢せずにお早めにご相談ください。ワクチンについてのご質問(どちらを選べばよいか、費用や助成のことなど)も、どうぞお気軽に当院までお尋ねください。
