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年齢のせいだけじゃない ― 認知症のリスクを下げる9つの生活習慣(安心感・自分ごと化)

認知症のリスクを下げる9つの生活習慣

― WHO新ガイドライン(2026年版)が伝えること ―

この記事のポイント

・世界保健機関(WHO)が2026年7月、認知症予防のガイドラインを7年ぶりに改訂しました。

・「認知症の最大45%は、生活習慣や持病など“変えられる要因”と関連している」と報告されています。

・今回は大気汚染対策補聴器の活用が新たに加わったのが大きな特徴です。

「もの忘れが増えてきた気がする」「親が認知症になり、自分も心配」——診察室でよくうかがう不安です。認知症は年齢とともに増える病気ですが、決して“年をとれば必ずなるもの”ではありません。

近年の研究では、生活習慣や持病の管理によって、発症を防いだり遅らせたりできる可能性があることがわかってきました。その最新の指針が、WHOが2026年7月15日に公表した「認知機能低下および認知症のリスク低減ガイドライン(第2版)」です。今回は、その要点を患者さん向けにわかりやすくご紹介します。

「最大45%」は予防できるかもしれない

生活習慣の見直しで、将来の脳を守る
生活習慣の見直しで、将来の脳を守る

WHOは今回、世界全体でみると認知症の最大45%が“変えられる要因”と関連していると示しました。逆にいえば、これらの要因に気をつけることで、認知症になるリスクをある程度下げられる可能性があるということです。

ただし注意したいのは、これは「対策をすれば必ず45%防げる」という意味ではないことです。あくまで社会全体でみたときの割合であり、また“これさえやれば絶対に認知症にならない”という魔法の方法でもありません。それでも、一つひとつの積み重ねが将来の脳の健康につながる、という前向きなメッセージだと受け止めていただければと思います。

WHOがすすめる9つの生活習慣

第2版で示された、認知症のリスクを下げるために大切な行動は次の9つです。できることから少しずつ取り入れてみましょう。

認知症のリスクを下げる9つの生活習慣
認知症のリスクを下げる9つの生活習慣

☑ 体を動かす(ウォーキングなど、無理のない範囲で毎日)

☑ たばこを吸わない(禁煙は何歳から始めても意味があります)

☑ お酒を控える(飲みすぎを避ける)

☑ 健康的な食事をとる(野菜・果物・魚を中心にバランスよく)

☑ 社会的・知的に活動する(会話・趣味・学びで頭を使い、人と交流する)

☑ 適正体重を保つ(太りすぎ・やせすぎに注意)

☑ 血圧・血糖・コレステロールを管理する(高血圧・糖尿病・脂質異常症を治療する)

☑ 難聴を放置しない(必要なら補聴器を使う)

☑ 大気汚染を避ける(空気のよい環境を心がける)

バランスのよい食事で、脳と体を元気に
バランスのよい食事で、脳と体を元気に

サプリメントについての注意

ビタミンB・E、オメガ3(魚油)、マルチビタミンなどのサプリメントは、不足が確認されていない場合、認知症予防の目的ではすすめられていません。効果の根拠が乏しいためです。まずは食事と生活習慣が基本です。

2026年版で新しくなったこと

聞こえにくさを放置しないことも脳の健康につながります
聞こえにくさを放置しないことも脳の健康につながります

2019年の初版から、次の点が新しくなりました。

新しくなった点 内容
大気汚染への対策(新登場) 大気汚染を減らすことが、予防策として初めて盛り込まれました。
補聴器の活用 聞こえにくさ(難聴)への対応が、はっきりと予防策の一つに位置づけられました。
頭と人とのつながり 頭を使う活動(認知トレーニング)や人との交流が、より強くすすめられるようになりました。

「耳の聞こえ」と「認知症」は一見関係がなさそうですが、聞こえにくさを放置すると会話や交流が減り、脳への刺激が少なくなることが関係すると考えられています。聞こえに不安がある方は、我慢せず一度ご相談ください。

血圧・血糖・コレステロールの管理が脳を守る

持病の管理が、脳を守ります ― 定期的なチェックと治療が大切です
持病の管理が、脳を守ります ― 定期的なチェックと治療が大切です

9つの中でも、当院が専門とする循環器・生活習慣病の分野は、認知症予防と深く関わっています。高血圧・糖尿病・脂質異常症(コレステロールの異常)は、脳の血管を少しずつ傷め、血管性認知症などのリスクを高めます。

これらは自覚症状のないまま進むことが多いのが特徴です。定期的に血圧を測り、健診で血糖やコレステロールをチェックし、必要なら早めに治療することが、心臓や血管だけでなく“脳の健康”を守ることにつながります。

まとめ ― 今日からできること

今日の積み重ねが、未来の自分を支えます
今日の積み重ねが、未来の自分を支えます

認知症は、年齢のせいだけで諦める病気ではありません。体を動かす、たばこをやめる、血圧や血糖を管理する——こうした一つひとつが、将来の脳を守る投資になります。

こんなときは、お気軽にご相談ください

・血圧や血糖、コレステロールが気になる/健診でひっかかった

・最近もの忘れが増えた気がして不安がある

・聞こえにくさが気になっている

当院(内科・循環器内科)では、生活習慣病の管理を通じて、こうした“脳の健康づくり”のお手伝いをしています。気になることがあれば、どうぞ遠慮なくお声かけください。

(出典)世界保健機関(WHO)「認知機能低下および認知症のリスク低減ガイドライン 第2版」2026年7月15日公表、およびWHO認知症ファクトシート(2026年7月更新)。本記事は一般の方向けにわかりやすくまとめたもので、個々の治療方針は診察のうえで判断します。