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トクホを飲んでいるのに、コレステロールが下がらない ― その理由と、本当に効く食べ方 ―

その飲み物、本当にコレステロールを下げていますか?

― トクホ・機能性表示食品の正しい読み方 ―

先日、外来でこんなご相談をいただきました。「コレステロールを下げると書いてある飲み物を毎日飲んでいるのに、検査の数値がちっとも下がらない。これは効かないということでしょうか」。

実はこれ、とてもよくあるご質問です。そして答えは「その商品がインチキだから」ではありません。制度と数字を知っていただくと、なぜ下がらないのかがすっきり分かります。今回はその読み方をご説明します。

健康飲料のラベルを見て首をかしげる女性

① 「コレステロールを下げる」と書ける食品は決まっています

食品のパッケージに「コレステロールを下げる」と書いてよいのは、次の2種類だけです。

  • 特定保健用食品(トクホ) … 国(消費者庁)が商品ごとに試験結果を審査して許可したもの。人が両手を挙げたようなマークが付いています
  • 機能性表示食品 … 事業者が科学的な根拠を国に届け出たもの。「機能性表示食品」という文字が書かれています

この2つ以外の、いわゆる健康食品や普通の飲料が「コレステロールを下げる」とうたうと、医薬品医療機器等法(旧薬事法)や景品表示法、健康増進法に違反する可能性があります。

ですから、パッケージにきちんとこの表示がある商品は、ウソを書いているわけではありません。ここは安心していただいて大丈夫です。

ただし、両者には大きな違いがあります。トクホは国が一つひとつ審査していますが、機能性表示食品は「届け出る」制度で、国が有効性を審査して認めたものではありません。根拠の責任は届け出た会社にあります。この違いはあまり知られていません。

② 「書いてよい」ことと「よく効く」ことは別の話です

ここが一番大事なところです。表示が認められていても、下がる幅はごくわずかです。海外の大規模な研究をまとめた結果では、おおよそ次のようになります。

成分 LDL(悪玉)コレステロールの下がり方
植物ステロール 6〜12%
サイリウム(食物繊維) 約7%
大豆たんぱく質 3〜4%
参考:コレステロールのお薬(スタチン) 30〜50%

たとえばLDLコレステロールが150mg/dLの方が、こうした食品で7%下がったとすると、実際の下がり幅は10mg/dL程度です。一方、お薬なら50〜75mg/dL下がります。けた違いといってよい差があります。

さらに、これらの食品が心筋梗塞や脳梗塞そのものを減らしたことを証明した研究は、現在のところ一つもありません。あくまで「検査値が少し下がる」ところまでが確かめられている段階です。

③ 「飲んでいるのに下がらない」5つの理由

  • 量が足りていない … 効果が確かめられている量は、植物ステロールで1日2g、食物繊維サイリウムで1日10g程度です。「1日2本」と書かれた商品を1本しか飲んでいないと、そもそも量が届きません
  • 検査値のゆらぎに埋もれる … 同じ人でも、採血のたびにLDLは5〜9%前後ぶれます。6%の低下は1回の採血では分かりません
  • もともとの対象が「やや高めの方」 … 試験は境界線あたりの方で行われています。しっかり高い方の数値を下げる力はありません
  • 食事全体が変わっていない … 一品足しても、ほかが変わらなければ差し引きゼロになります
  • かえって気がゆるむ … 「これを飲んでいるから大丈夫」と、脂っこいものが増えてしまう。これは意外と多いパターンです
和食の食卓で健康診断の結果を一緒に見る夫婦

④ 組み合わせれば、食事の力はもっと大きくなります

ここからは前向きなお話です。単品ではわずかでも、こうした食材を組み合わせた食事全体に変えると、効果はぐっと大きくなります。

植物ステロール・大豆製品・ねばねばした食物繊維・ナッツを組み合わせた食事パターンの研究では、LDLコレステロールが約17%(28mg/dL程度)下がったと報告されています。しかもこれは、信頼性が高いと評価されている結果です。

日本動脈硬化学会が勧めている「The Japan Diet(伝統的な和食)」も同じ考え方です。魚、大豆・納豆、野菜、海藻、きのこ、麦飯や玄米を増やし、肉の脂身・バター・洋菓子を控える。一品を足すよりも、食卓全体を少しずつ動かすほうが、確実で長続きします。

⑤ 気をつけていただきたいこと

  • 受診やお薬を先延ばしにしないでください … これが一番の害です。特に、すでにお薬を勧められている方は、食品で置き換えることはできません
  • 飲料の糖分にご注意を … 毎日続けるものですから、砂糖やカロリーの量も確認してください
  • 「効くサプリ」ほど危険なこともあります … 2024年に問題になった紅麹(べにこうじ)の成分は、実はコレステロールのお薬とほとんど同じ物質です。よく効く代わりに、お薬と同じ副作用(筋肉や肝臓の障害)も起こります。すでにスタチンをお飲みの方が併用すると、お薬が二重になってしまいます
  • 「病気が治る」「血糖値を下げる」と書いてあったら要注意 … トクホや機能性表示食品であっても、病気の治療・予防をうたうことは認められていません。そう書いてある商品は法律違反の可能性があります

おわりに ― 遠慮なくお持ちください

健康食品を試すこと自体は、決して悪いことではありません。ご自身の体を良くしたいというお気持ちの表れですから、当院では否定するつもりはまったくありません。

ただ、「効かないのはなぜだろう」と一人で悩んでいる時間が、実はいちばんもったいないのです。

今お飲みのものがあれば、パッケージごと、あるいは写真でかまいませんので診察の際にお持ちください。どの制度の商品か、含まれている量は足りているか、今のお薬との飲み合わせは大丈夫か、一緒に確認いたします。そのうえで、食事・運動・お薬をどう組み合わせるのが一番良いかを考えていきましょう。

コレステロールは、高い状態が長く続くほど血管への影響が積み重なります。だからこそ、早めに、そして気長に取り組むことに意味があります。気になることがあれば、どうぞご相談ください。

藤井内科医院/一般的な情報提供を目的とした記事です。